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放射線を知る

放射線の種類(粒子線と電磁波、直接電離と間接電離)

放射線の種類について、様々な視点から説明します。

○原子の構造について

全ての物質は、たくさんの原子からできています。
原子はプラスの電荷をもつ原子核と、その周りをまわっているマイナスの電荷をもつ電子から成り立っています。
原子核はプラスの電荷をもつ陽子と電荷をもたない中性子という粒子からできています。

放射線の種類

原子の構造

出典:原子力・エネルギー図面集

原子の性質(元素ともいいます)は原子核に含まれる陽子の数で決まり、陽子の数のことを原子番号といいます。
例えば原子番号1の水素原子は陽子1個、原子番号8の酸素原子は陽子8個で構成されています。
また、陽子と中性子の数の合計を質量数といいます。
同じ原子番号の原子でも、中性子の数が異なるために質量数が異なるものがあり、これを同位体といいます。
例えば原子番号92のウランの場合、ウラン235とウラン238では陽子の数は等しく92個ですが、中性子の数が異なります。これらはウランの同位体です。(ウランの同位体は他にもウラン233やウラン234など複数あります)

放射線の種類
同位体の例(ウラン235とウラン238)

通常、原子に含まれる電子の数と陽子の数は等しく、プラスとマイナスの数がつり合う「電気的に中性」な状態となっています。

○電離とは・・・復習

「放射線とは」で「電離放射線」という概念を説明しました。

繰り返しになりますが、放射線とは、広義には空間を伝播、移動するエネルギーの流れであり、電離放射線と、それ以外 の非電離放射線を含めたいい方です。ただ、放射線を取り扱う分野では一般的に電離放射線のことを「放射線(狭義)」と いいます。
原子に外からエネルギーが与えられて、軌道電子が原子の外に追い出され、プラスの電気をもった原子(陽イオン)と原子核に束縛されない電子(自由電子)とに分離することを「電離」といい、電離を起こすはたらきのことを「電離作用」といいます。

放射線の種類
広義の放射線と狭義の放射線

○放射線はどこから出てくるのか

原子も色々です。安定な状態の原子もあれば、不安定な状態にある原子もあります。
不安定な状態にある原子は、一定の確率でより安定な状態に移り、その際に異なる原子番号の原子に変わります。
その確率は原子番号と質量数の組合せ(核種といいます)により決まり、核種固有の値をもちます。
つまり、全ての原子が不変ではないのです。
不安定な状態にある原子がより安定な状態に変わることを「壊変」や「崩壊」と呼びます。
原子が壊変するとき、壊変の前後でエネルギーに差が生じます。このエネルギーの差を放射線という形で放出します。
壊変(崩壊)により放出される放射線の種類は、壊変する前の原子によって決まっています。

放射線の種類
壊変と放射線

○粒子線と電磁波

壊変により放出される放射線は、粒子線と電磁波の2種類に分けることができます。
粒子線の“粒子”とは質量をもつものを指し、粒子の例として電子や陽子、ある核種の原子核のように電荷をもつ荷電粒子と、中性子のように電荷をもたない非荷電粒子などがあります。
粒子線の他に、質量をもたない光速の波である電磁波も、電離を起こせるような高いエネルギーをもつと放射線の一種(電離放射線)となります。電離放射線は可視光線や紫外線に比べるとはるかに高いエネルギーをもっています。

放射線の種類

電磁波の仲間

出典:原子力・エネルギー図面集

○直接電離と間接電離

また、放射線による電離作用は、直接電離と間接電離の2種類に分けることもできます。
直接電離とは、十分なエネルギーをもった荷電粒子が原子や分子に直接衝突することで起こる電離作用のことです。
間接電離とは、電荷をもたない中性粒子や電磁波が、原子や分子などと反応した結果、新たに荷電粒子(二次荷電粒子といいます)線が発生し、二次荷電粒子が直接電離を起こす電離作用のことです。

放射線の種類        

直接電離

放射線の種類        

間接電離

「放射線の種類(X線、γ線、β線、α線、中性子線)」項では、様々な放射線とその性質(粒子なのか電磁波なのか、荷電粒子なのか中性粒子なのか・・・)について説明します。

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