放射線を知る
放射線防護の目的
放射線防護の目的は、放射線被ばくを伴う有益な行為を実施する場合に、人の安全を確保することです。
放射線防護の歴史
放射線の医療分野での利用が進むにつれ放射線の影響への懸念が高まり、1928年に「国際X線およびラジウム防護委員会」(International X-ray and Radium Protection Committee, IXRPC)が設立されました。
その後、IXRPCは1950年に放射線の利用が医学分野にとどまらなくなったことを受けて国際放射線防護委員会(International Commission on Radiological Protection, ICRP)と改称されました。
ICRPは民間の国際学術組織として、専門の立場から国際機関や各国に対して放射線防護に関する勧告を行っています。
ICRPの放射線防護の目的
ICRPの勧告の中に、放射線防護の目的について述べている項目があります。
放射線防護の第一の目的は、放射線被ばくの原因となる有益な行為を不当に制限することなく、人を防護するための適切な標準をあたえること(ICRP Pub.60)
放射線は人に対して害があります。だからといって放射線利用を禁止するのではなく、人に恩恵をもたらす放射線の利用は人の安全を確保して実施すべきです。この人の安全を確保することが放射線防護の目的です。
放射線防護の三原則
ICRPの勧告のなかには、放射線防護の目的を達成するための「放射線防護の三原則」というものがあります。
- 行為の正当化
- 被ばく線量の最適化
- 線量限度の適用
この三原則については「放射線防護の三原則」項で説明します。