本文へジャンプ

ニュース

空気中の放射性セシウムを当社比10分の1以下の時間で迅速に検知する放射線計測システムを開発

2018年09月10日

東芝電力放射線テクノサービス株式会社は、通常、空気中には存在しない放射性セシウムを常時監視し、高感度で5分以内(当社比10分の1以下*1)に検知する新しい放射線計測システムを開発しました。

福島第一原子力発電所の廃炉工事では、飛散防止処置等を含めた十分な安全対策が実施されています。一方で、今後復興に向けた拠点整備が進められる帰還困難区域においては、万が一の異常事象発生に備え、早期の事象検知とそれに応じた避難行動の備えが重要と考えられます。
従来から配備されている「モニタリングポスト」は、リアルタイムではあるがセシウム以外の放射性核種のガンマ線などを合算して測定するものであり、「ダストモニタ」は高感度ではあるが分析に時間がかかるため、高感度かつ迅速なモニタリングを実現する「第3のモニタ」が必要と考えています。

これに対応する手段として、実績あるガンマ線モニタ装置技術を元に、地面からのガンマ線を遮断する特殊形状の遮へい体や、空気中の放射性セシウムが出すガンマ線を識別するためのスペクトル分析手法を採用して開発し、本製品では、従来、検知・判断に要していた時間の10分の1以下という短時間で、空気中の放射性セシウムを迅速に検知できるようになりました。
また、昨年度 環境省/中間貯蔵・環境安全事業株式会社殿の「除染土壌等の減容等技術実証事業」に採択され、帰還困難区域での実地試験で本製品の性能を実証しました。

当社は、今後も積極的な技術開発を進め、被災地の復興や社会に貢献できるよう努めてまいります。

  • *1) ダストモニタ(型番SAM-BR300)との比較。

主な仕様

主な仕様
測定対象 空気中の放射性セシウム
測定方法 NaI(Tl)シンチレーションスペクトロメータによるリアルタイムスペクトル分析
外形寸法、質量(検出部) 直径 約600mm 高さ 約650mm、約600kg(鉛遮へい体および検出器ほか関連機器)
検出能力 空気中の放射性セシウムの存在をピーク計数監視により判定
3.0×10-5Bq/cm3の放射能濃度レベル*2を5分以内で検知
*2)一辺100mの立方空間に、放射性セシウムが一様分散している条件として換算
(なお、測定時間により検知可能な濃度レベルは変わります)
放射線計測システム概念図
放射線計測システム外観イメージ
【参考文献】
T.Maekawa, Y.Oshima, “A rapid-detection method for radioactive cesium in the air”, J. Nucl. Sci. Technol., 55:2, 181-189 (2018).

«お問い合わせ先»

東芝電力放射線テクノサービス(株)

電話 045-770-2218(受付時間 9:00~17:00 土・日・祝日・当社休業日を除く)
FAX 045-773-1309
電子メール TRS-INF@ml.toshiba.co.jp

このページのトップへ