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放射線を知る

身の周りにある放射線と日常的な被ばく

目に見えず匂いもしない放射線。
五感で感じることができないので気づきませんが、常に私たちは放射線を受けています。この項では身の周りにある放射線と日常的な被ばくについて紹介します。放射線障害防止のため、関係者以外の立ち入りを制限し、かつ作業者の被ばく管理を適正に行うことを目的とした区域のことを「管理区域」と呼びます。

 

■自然放射線

私たちが自然界から受ける放射線を自然放射線といいます。
私たちは大地、宇宙、食物及び空気中のラドンなどから、日本平均では一人あたり年間約2.1ミリシーベルト、世界平均では一人あたり年間約2.4ミリシーベルトの自然放射線を受けています。

放射線から受ける線量
出典:一般財団法人 日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」
 

■自然放射線の種類

  • ・宇宙からの放射線
  • 宇宙から飛んでくる放射線、これを宇宙線といいます。昼も夜もほぼ一定の強さで地球に降り注いでいます。宇宙線は空気の層によって遮られるため、高度が高くなるほど宇宙線の量も増加します。 例えば、飛行機で東京とニューヨークを1往復すると約0.19ミリシーベルトの宇宙線を受けます。国際宇宙ステーションでは1日当たり0.5~1ミリシーベルトとなります。
  • ・大地からの放射線
  • 地殻を構成している岩石や土壌の中には、ウラン、トリウム、ラジウム、カリウムなどの放射性物質が含まれていて、これらは絶え間なく放射線を出しています。また、温泉などに含まれているラジウムからも放射線が出ています。
  • ・呼吸によって受ける放射線
  • 地面やコンクリートには一定濃度でウランやトリウムが含まれます。これらウランやトリウムからラドンなどの気体状の放射性物質が生じ、空気中に放出されます。私たちは、それらを呼吸し体内に取り込むことで放射線を受けることとなります。

自然放射線のレベルの違いについて以下のグラフに示しています。 大地からの放射線を受けにくい海上では宇宙線による影響が主であることが判ります。 木造住宅と鉄筋住宅を比較すると、鉄筋住宅の方が木造住宅より宇宙線を遮る力が強いため宇宙線の影響は少なくなっていますが、鉄筋住宅に使用されるコンクリートはウランやトリウムを含んでおり、それらから発生したラドンの影響が多くなっています。 また、高度が高くなればなるほど、大地からの放射線を受けにくくなり、宇宙線を受けやすくなることが判ります。

自然放射線レベルの違い
出典:一般財団法人 日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」
  • ・食物から取り込む放射線
  • 植物(米、ホウレン草、わかめなど)や動物(魚、牛肉など)の中にも放射性物質が含まれています。その代表的なものがカリウム40です。カリウムは生物の成長に欠かせない元素ですが、一定の割合でカリウム40が含まれており、これらを含む食物を食べると自然に体内から放射線を受けることになります。
体内、食物中の自然放射性物質
出典:一般財団法人 日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」
 

■日本各地の自然放射線

自然放射線の強さは、どこで測っても同じというわけではありません。
例えば、我が国で最も少ない神奈川県と最も多い岐阜県とは年間約0.38ミリシーベルトの開きがあります。この違いは主に大地の放射線量の違いによるもので、岐阜県の自然放射線が高いのは放射性物質(ウラン、トリウム、カリウムなど)を多く含む花崗岩地帯のためです。また、インドのケララ地方では年間約3.8ミリシーベルト、ブラジルのガラパリ地方では、年間約10ミリシーベルトの自然放射線を受けています。

 

■人工放射線

私たちは、自然からの受ける放射線の他に、人工的に作られた放射線を体に受ける事があります。人工放射線として早くから利用されているのはX線で、病気の診断などに日常的に使われています。日本人一人当たりが1年間に受ける自然放射線および人工放射線で一番多いのがこの医療で受ける放射線です。

日常生活と放射線
出典:一般財団法人 日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」
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